食・料理
  ホーム食・料理チーズの宝庫・イギリス>チーズの発達

 
  イギリスの食卓にかかせることのできない食べ物、チーズ

  チーズの宝庫・イギリス
>>  チーズの発達
>>  チーズ・ガイド
>>  チーズの種類
>>  チーズの効用
>>  チーズができるまで
イギリスにおけるチーズの発達

チーズのはじまりは、四千年以上も前のこと。灼熱の砂漠を旅するアラビアの遊牧民がミルクを携えて出発したことからスタートします。そのミルクは、動物の胃袋でできたサドルバックに入れられていました。旅を終えたアラビア人は、のどの渇きを癒すためにミルクを飲もうとすると……、なんと、ミルクのかわりに透明の液体と凝固物を発見。実はこれらが、乳精と凝固したチーズだったのです。砂漠の熱と、動物の胃袋に含まれた酵素、そして馬の駆け足の絶妙なリズムがミルクを攪拌し、チーズができたのでした。

イギリスは何千年も前からチーズをつくっていましたが、チーズ製造技術が発達したのはローマ時代になってからです。中世には、僧院が主としてチーズづくりにかかわり、レシピを開発していきました。現在、イギリスで多くのチーズを楽しむことができるのは、僧たちの努力があってのことと言えます。ヨークシャー産のウェンズリー・デ−ル(熟成前の白チーズ、または熟成した青みを帯びた軟質のチーズ)は、12世紀にジャーボークス寺院の僧たちによってつくられたそうです。

イギリスのチーズは種類が多くありますが、そのどれもが面白いエピソードをもっています。英国の土地台帳によると、チェシアはイギリスで最も古いチーズで、11世紀までさかのぼります。また、エリザベス一世の王室に愛されたことでも有名です。

「英国チーズの王様」として知られるのは、スティルトン。このチーズは、18世紀初頭、グレート・ノースロードの宿屋で出されていたカンブリッジ・シャーの村の名前が、起源となっています。1996年にスティルトンの製造地は、その伝統をもつレスター・シャー、ノッティンガム・シャー、ダービー・シャーの三つの県のみに、限られるようになりました。

ポピュラーなチーズであるチェダーは、15世紀ごろに、サマーセット北部のチェダーの谷として知られる峡谷で作られたとのことです。今日、イギリスはチェダーのメッカ。世界的にもイギリスがこのチーズの生産地として知られています。

イギリスのチーズ産業は、17世紀に大盛況となり、19世紀の産業革命まで順調な売れ行きをみせました。しかし、鉄道の発達がミルクの運搬を容易にしたため、チーズを作るよりも、ミルクをそのまま売った方が、利益が上がるようになりました。そのため、チーズの生産は停滞方向へ。二つの世界大戦もこの傾向が変わることはなく、食糧省は、大戦間にただ一種類のチーズのみ製造するよう規定したのですが、その「ナショナル・チーズ」は、あまり人気を博しませんでした。

イギリスが、かつてのように豊富な種類のチーズを製造するようになったのは、1970年代になってから。その後、ルネサンス時代のような勢いで、昔のレシピが発見されたり、新しいタイプのチーズ開発がすすみました。こうしてやっと、現在のチーズ事情は、17世紀以前の頃と同じくらいの隆盛を迎えるようになったのです。