食べるイギリス フィッシュアンドチップスの老舗を訪ねて
イギリス, 食, 料理, 郷土料理, フィッシュアンドチップス, 老舗
ロンドンにもイギリスの老舗であるフィッシュアンドチップスを楽しむことができる
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シリーズ まるごと食べる!イギリス
ロンドンいちのフィッシュアンドチップスを求めて!
高級レストランからテイクアウェイのチッピーまで、「ロンドンで一番おいしいフィッシュアンドチップス」の看板を掲げる店は数多い。
ここでは、昔ながらのチッピーを見つけるのが難しいロンドンの中心地で、伝統を守り続ける数少ない老舗のひとつを訪ねてみた。
創業1870年の The Rock & Plaice は、観光客や買物客でにぎわうコベント・ガーデン(Covent Garden)界隈にある。130年間同じ場所でフィッシュアンドチップスを供し続けているというから驚きだ。
おしゃれなショッピングストリートとして知られるニールズ・ストリートから一本入った角にあるレストランは、テイクアウェイのカウンターのほかに、4つほどのテーブル席、そして階下に20席ほどの食事エリアがある。また、歩道に木のテーブルといすを並べた野外席もあり、天気のいい日の食事には最高だ。
創業から現在にいたるまで、レストランと調理技術を代々受け継いできたという現在のオーナー兼Master Fryer(フィッシュアンドチップスの達人)が、毎日みずから魚を吟味し、衣を混ぜ、魚とジャガイモを揚げている。衣のレシピは当然ながら企業秘密だが、伝統的なビール入りには間違いない。また揚げ油は、フィッシュアンドチップスに一番適するとされている落花生油を100%使用しているという。
筆者は野外席に座って、コッドCod とプレイス Plaice を注文した。注文をとってから揚げるため、魚の種類と大きさにもよるがだいたい7-8分ほど待たされるようだ。オーナーは気さくなおじいさんで、衣をつけるところから揚げるところまでを近くで見させてくれた。その手さばきは熟練した職人そのものだ。
揚げあがってでてきたフィッシュはどちらも衣が黄金色に輝いている。ナイフを入れるとパリパリと音がして真っ白な魚の身が現れる。
まずは、塩をふりモルトビネガーをかけて一口。サクサクで全く油っこさを感じさせない衣にほどよく酸味がしみて、文句なしのおいしさだ。魚は臭みがなく淡白だが、ジューシー。両方を一緒に口に運ぶと、サクサクとジューシーが溶け合って、これぞフィッシュアンドチップスの醍醐味。くせがないのはコッドの方だが、爽やかな後味の残るプレイスも劣らず美味だ。
次に手作りだというタルタルソースで試してみる。ヨーグルトのようにさらっとした軽いソースで、ハーブのディルと刻んだケイパーが効いている。想像以上に美味で、今回はモルトビネガーよりもタルタルソースに軍配があがった。
チップスは、通常よりもさらにやや太めかと思われるくらいにカットされていて、熱々を口に入れるとホクホクとしたジャガイモのかすかな甘みが広がる。厳選したジャガイモだけを使っているというだけあって、チップスのみをテイクアウェイする人が多いのもうなずける。たかがチップス、されどチップス。チップスを単にフィッシュのつけあわせ(=おまけ)としてではなく、互角の食材として扱っているオーナーの姿勢が感じられる。
サイドで注文したオニオンリングとマッシィーピーズにも大満足だった。オニオンリングはカリっと揚がった衣に下味がついていて、何もつけなくてもおいしい。マッシィーピーズは、しっかり煮込んだエンドウ豆のあせた緑色がいかにもホームメードで、家庭的な味だ。
早めの昼食だったため、はじめはのんびりしていた店内だが、徐々に客が増え始めほどなくオーナーもウエイターたちもフル回転となった。カウンターの前にはテイクアウェイ客(お持ち帰りの客)による注文待ちの列ができ、好天候のためか野外席もみるみる埋まってしまった。
100年以上にも渡ってこのレストランのにぎわいを見守り続けてきたであろうと思われる歩道の大木。その枝から吊り下げらたゼラニウムの植木鉢の下、野外席でおいしいフィッシュアンドチップスを食べる究極の幸せ。テイクアウェイのわら半紙に包まれたチップスを大事そうに抱える子どもと、ときどき手を出してつまむ父親。熱々のチップスをほおばりながら歩き去っていく親子を見て、「ああ、イギリスっていいな」としみじみ思う筆者であった。
<レストランの情報>
The Rock and Sole Plaice
47 Endell Street
London, WC2H 9AJ
TEL (020)7836 3785
営業時間:月〜土 11:30−23:30、日 12:00−22:00