|
|
 |
「二度目の結婚式」で祝う相手の存在
シニア世代にとっての「カップル」の意味 |
|
 |
イギリス人の生活単位は、基本的に「カップル」だ。家族を持っても、夫婦や恋人同士という単位で行動したり招待を受けたりすることが多い。しかしシニア世代になってくると、望むと望まないとにかかわらずこの単位が崩れてくる。それは長年連れそった相手との「死」という避け難い別離のためであったり、少ないながらも増えつつある「熟年離婚」という社会現象のためであったりする。しかしながらそれでも「カップル」であることを続けようという努力がよくみられるというのがイギリス的現象のようだ。
2001年の国勢調査によれば、65歳以上のシニア人口のうち70パーセントの男性が妻やガールフレンドなどのパートナーと一緒に「カップル」として暮らしているという。一方同じ年齢層の女性の場合は、60パーセントがパートナー無しで生活している。その大部分は未亡人であり、女性の方が長生きであるというのはイギリスでも変わらないから、この結果は人口推移の点からみれば不思議ではないのかもしれない。
しかし同時にこの調査では、未亡人となった男性の方に「再婚率」が高いという結果も報告している。イギリス男性にとって「カップル」という単位は、人生に必要不可欠なものらしい。
確かにイギリスで日常生活をしていると、シニア世代にいる未亡人やシングル男性がお付き合いしたり再婚したりという例を耳にすることが多い。
例えば、第二次世界大戦ではイギリス空軍の戦闘機「スピットファイア」に乗って戦ったというSさんは83歳。10年程前に奥さんを亡くして、生活の張りのためにと始めたボランティア活動で知り合った、47歳の女性と恋に落ちた。その女性がアメリカで仕事を見つけたのをきっかけに、2人でサンフランシスコに移住してしまった。
Sさん曰く「パートナーは自分の人生のスパイスのようなもの。誰かを好きになることで自分の魅力を磨こうと努力するし、誰かに好きになってもらうことで自分に自信がでる」。
未亡人であるか否かに限らず、イギリス人シニア世代は「シニア」であるということに否定的にならず、自分を磨こうとする人が多い。このことも「パートナー」を探し出したり、カップル生活を長続きさせたりするための重要な要素であるようだ。
イギリスの離婚率がヨーロッパ一高いとはいうもののシニア世代に限っては、それはまだ別世界の話。労働人口世代の平均13パーセントという離婚率に対して、シニア世代の離婚率は2パーセントという低さだ。そこには、長年パートナーとして連れ沿ったという信頼、そしていつまでも変わらない人間的魅力への愛情がある。そんなシニアカップルが、仲良く手をつないでショッピングを楽しんでいる姿がイギリスの街角のあちらこちらでみられる。
それでも一度パートナーを見つけたからといっても、最後まで一緒にいられるとは誰も信じてはいない。だからこそ長い間カップルでいられるということに、格別の感慨を持つのもイギリス人の特徴。それはカップル生活が長くなればなるほど、結婚記念日等を大々的に祝うという傾向に見ることができる。
その代表的なのは「二度目の結婚式」。映画「ブリジット・ジョーンズ2」にも彼女の両親が教会で二度目の結婚式を行なう場面があり「映画用の作り話だな」と思った方も多いと思うが、これはイギリスのシニアカップルにも実際にある話なのだ。自分の子供を介添えにして、2人で互いに感謝し合い、更に誓う永遠の愛。そういう相手に出会い、何十年も一緒にいられるというのは、簡単そうで簡単なことでないことをイギリス人は実に良く知っている。
「シニア世代」ということに暗いステレオタイプなイメージを抱く文化圏では、この風習が派手なお祭り騒ぎに映るかもしれない。しかし、次の曲がり角に何が待っているか分からないのが人生。戦争、病気、事故、自然災害、離婚などなど、幸せなカップル生活を阻む原因はあちこちにころがっている。50年も60年も互いに変わらない愛情で無事に一緒にいられるというのは、それこそ奇跡に近いものがあるのかもしれない。
「二度目の結婚式」は、そんなカップルを続けることの難しさをよく知るイギリス人のチャーミングな風習といえるのではないだろうか。
|
|
|
|
|