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仕事、結婚、出産、育児など、たくさんの女性としての経験を積んできたアイリーンさん。今までの人生はとにかく夢のように過ぎてしまって、47歳というご自分の年齢を意識されたことがないという。
「年齢というのはただの数だと思うんです。ただ経験の数が増えていくだけで、30代の『私』と40代の『私』が違う『私』であるとは思いません。唯一年齢を意識する時は、体力がついてこない時かしら。頭の中はいつも10代、20代と同じ『私』だから、『こんなの軽くこなせるわ』と思っても身体の方がいうことをきかないんですよね。」 |
そういって笑うアイリーンさんだが、体力的にもまだまだ充分若い。育児から手がはなれた後は、働きながら調理学校のケーキデコレーションのクラスに通って資格を取った。今では昼間の仕事を終えた夜や週末に、注文のあったバースディケーキやウェディングケーキを作っている。
「研究室で土や石ばっかり扱ってるから、きれいで夢のあることをしたかったんです。40歳の前半から始めて、仕事の後、週1回の夜のクラスに2年間通いました。デコレーションに使うマジパンが大好きな娘は大喜びで、私がデコレーションを始めるとすぐ寄ってきて材料を食べちゃうんですよ。親子の会話が弾むという思わぬ副産物ができました。」
その後もアイリーンさんのチャレンジは続く。カソリック教徒であるアイリーンさんは、現在、旦那様と一緒にPermanent
deacon(教会運営事務などのための認定書)のコースに通って、宗教学などを学んでいる。コース修了後は教会での活動にもっと力を入れる予定だという。
「とにかく毎日が忙しくて。仕事、家事、自分のやりたい事でいっぱい。これからも自分の年齢を考えたりする暇はないでしょうね。」
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アイリーンさんの口ぐせは「The cup is
half full.」。イギリス人の考え方を表した
言葉で「The cup is half empty.」というのが対になっている。「カップにはまだ
半分残ってる」と楽観的な考え方を示したのが前者、「カップにはもう半分しか残ってない」と悲観的なのが後者だ。
「もちろん人生いつも楽なことばかりではないけれど、考え方次第で気分を楽にすることはできると思うんです。」
そうおっしゃるアイリーンさんにも苦労した時はあった。会社と社員の関係がドライなイギリス社会では、突然の解雇は当たり前。アイリーンさんの旦那様も、結婚生活25年の中で三度も解雇にあったとか。その度に一家の大黒柱になったのはアイリーンさんだった。
「子供は小さかったし、家のローンはあるし、大変なことは数え切れないほどです。特に1980年代から90年代初めにかけて、この国は救いようもないほど不況だったから、経済的に苦しい時はたくさんありました。でも『The
cup is half full.』、これで人生が終ったわけではないと思っていたので、何か行動することを考えました。そこで昼間の仕事の他に、夜はスーパーのレジ係になって家計を支えたんですよ。」
そんな苦しい時に、どのように自分を勇気づけられましたか?
「まず第一に私も家族も健康でした。健康だからこそ朝晩外で働いて家事もできる…。そこに幸せを見出しました。『健康にこの生活を続けていれば、いつか経済的なことは好転する』と自分に言い聞かせたんです。それに出口のないトンネルはないでしょう?それが世界の仕組みですから、過ぎてしまえばみんな良い思い出です。」
と朗らかに笑うアイリーンさん。苦しいトンネルから抜け出たこれからの人生計画は?
「考えつかないですね。その時の私の希望が『私のやりたいこと』なので。でも、いつでも社会の一員として役に立つことがしたいです。引退しても、チャリティに参加したり、ボランティア活動をしたりすると思います。私の今までの人生はハッピーで、とても楽しかったから、それを与えてくれた社会にお返しをしたいのです。」
アイリーンさんは、その後もフラワーアレンジメントの資格を取って教会の花のアレンジをする計画や、何か楽器を習って旦那様やお嬢さんと一緒に演奏する夢などを目を輝かせながら語ってくれた。アイリーンさんのカップの中のお茶はいつまでもなくなりそうにない。 |
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