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植物のエコロジーを理解する
あくまでも自分に与えられた庭の特性と、身近に手に入るその土地に合った植物を、自然に時間をかけて根付かせてあげるのが、もっとも一般的なイングリッシュ・ガーデンのやり方。実際の生きた植物やそこに集まってくる動物たちの習性を知り、自然環境をよく知っておくことが、素敵な庭づくりのはじめの一歩だ。
イギリスでは、日本のように北側、南側、といった方角や風水の観念はあまりないので、方角に構わず庭がよくつくられている。広いからいいというものでもなく、狭ければ狭いなりの魅力を高めていくこともできる。プランニングは、日当たり、風当たり、土壌、水はけなど、与えられた条件をきちんと理解したうえ進めていく。 |
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なんでもごちゃごちゃはご法度
あの植物も、この植物もと言って、あまりにも欲張ってしまうと、庭全体として色、素材ともに視点が定まらないうえに、植物同士の相性が悪く、互いにうまく育たないこともある。ガーデナーは四季の物語の作り手。明確なテーマを設けて庭づくりをしていくのが理想だ。
まず、自分がどんな庭をつくりたいのかを思い描いてみよう。カントリースタイル、ティースタイルなどなど、そのスタイルは様々だ。乾燥して日当たりがよすぎる土地柄を生かして、多肉植物と石や砂を多用した「砂漠」をテーマにした庭、あるいは湿っぽくじめじめした土壌を利用して、池や川、噴水などをあしらった「水」をテーマにした庭など、可能性は想像次第で広がる。個性豊かな、ストーリー性のあるガーデンをつくるのも楽しいだろう。
テーマやイメージが決まったら、全体の眺めを考え、基本的なところで土壌改良なども考慮して、デザインを固めていこう。草丈と花ごろの季節、花と葉の形と色や質感、あるいは常緑木、落葉樹、広葉樹といった四季折々に動いていくすべてが、庭の眺めを彩る重要な要素になる。やわらかい、薄い風合いのもの、力強い印象のもの、つやのあるもの、繊細なもの・・・といったディティールのバランスも考えながら、点と線と面をからませながら全体像をイメージしていこう。
花色形のバランスも考え、太陽の光の向きや、影、日当たりなどを配慮しつつ、ホワイトガーデン、イエローガーデン、イエロー&ブルーガーデンといったカラースキームを取り入れるのも、美しいガーデンづくりのヒントになる。こうしたカラースキームは、イングリッシュ・ガーデンの生みの親であるウィリアム・ロビンソンや、ガートルード・ジーキルの尽力により広まったスタイルでもある。 |
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最高の演出家・ガーデニング素材たち
植物だけでなく、花壇の形など、ガーデンをより自分らしくするための材選びもこだわりたいもの。レンガやティンバーの柵やオベリスク、トレリス、オブジェクト、フェンス、アーチ、ゲート、そして壁そのものといった多彩なガーデニング素材のなかから、自分が作りたい、あるいは来客にこんな空間を見せてあげたい、と思い描けるものを選んでいこう。
フェンスなどのガーデニンググッズは自然環境にも配慮したものが理想的。できれば家や町並みのイメージにぴったりとあう色や素材を選びたいものである。木や石、テラコッタ、アイアンなど、時間を経て植物の成長とともに味を増していく素材を厳選すると、より自然な感じにまとまる。陶器製のオブジェクトやベンチを置くのも、遊び心もあって楽しみが増えるし、庭全体のバランスを考えた場合のフォーカルポイントとなっていいだろう。
とりわけアーチやゲートは、つるやシュラブの植物を効果的に這わせたいアイテム。イギリス式によく見られるスタイルで、一般的な材質はティンバーとアイアン。貴族のお屋敷だったりすると圧倒的にアイアンが多く、ティンバーならこぢんまりとしたコテージ風のガーデンにぴったりだ。アイアンならちょっと正統派で高級感もあり、また流線型のデザインと植栽との組み合わせを楽しむこともできる。 |
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植物たちをじっくりと観て味わう
イングリッシュ・ガーデンの魅力の一つに、身近に植物を眺めたり、ベンチやテーブルを置いて読書やティータイムを楽しんだりできる風景がある。これに欠かせないのがガーデンフロア、つまり地面。素材としては芝生、砂利、舗装、木材デッキ、レンガなどがある。また、ガーデン・パスといって、植栽を歩いたりしながら見られるような通路があるのもイングリッシュ・ガーデンのよさのひとつ。ガーデン・パスには木や石、タイル、レンガ、木の破片(バーク)などなどで自然な感じに。
また、水辺のアレンジとして池や川、噴水などの水の要素を取り入れるのも楽しいだろう。夜にもガーデンにたたずめるよう、照明器具があればいっそう、庭の用途も広がる。
日本では、家を新築した後に庭のデザインを決めることがほとんど。でも、始めから家と庭を含めて設計をすれば、眺めのよい庭と屋内をつくりあげることができる。景観そのものを、自分のテイストにしていく方法も、イギリスのスタイルだ。
始めからとことんオーガニック・ガーデンにこだわる人もいる。無農薬で、自然や人々の心や身体にやさしい庭づくりだ。虫や鳥を呼び、その力によっていっそう庭を生き生きとさせるやり方である。
春や秋になると、店に種や球根が多く置かれるようになり、ガーデニンググッズも目立つようになる。この季節になると心が騒ぐのは、ガーデン好きな日本人も英国人も同じ。苗を買うのも簡単だが、種や球根から芽が出てから成長するまでの長い時間をじっくりと待つのも味わい深いものだ。
植物たちがその土地になじむには、だいたい3年かかるといわれている。イングリッシュ・ガーデンといっても決まったルールはほとんどなくなってきている。基本は植物の性格やエコロジーをよく理解して、自然を愛し、自分の生活のなかにテーマを持って取り込んでいくこと。そのことこそがイギリス式の庭造りの醍醐味といえるだろう。 |