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緊急レポート ドイツW杯-準々決勝 イングランド対ポルトガル
ポルトガルのクリスチアーノ・ロナウドがペナルティ・キックを決めた瞬間、イングランド代表のドイツワールドカップにおけるストーリーは幕を閉じた。

その直後、イングランドのベスト8進出に最も貢献した選手は、泣いて、動けなかった。DFジョン・テリーしかり、リオ・ファーディナンドしかり。彼らは本当に走った。守った。そして戦った。死力を尽くした結果の涙だった。

一方で、試合後、デービッド・ベッカムらの攻撃陣は、悲しげだが、もどかしいような表情でもあった。彼らもまた、守備陣と同様に自分達の持っている力を最大限に発揮したかったに違いない。

たが、それはできなかった。

大将エリクソンの支配下では、無理だった。その大将は、あまりにも選手の特性を無視した戦術を採用し、若き才能ウェイン・ルーニーを重宝しすぎ、今大会得点もあったピーター・クラウチを軽視しすぎた。その結果、攻撃陣に「彼らの特徴」を忘却させてしまったかのような粗末な攻撃に終始させ、守備陣に膨大な仕事を与えることとなってしまった。彼らのもどかしい表情は、そのことが所以だろう。

大会ナンバーワンの鉄壁ディフェンス陣、ランパードの2列目からの飛び出し、ジェラードのミドルシュート、ベッカムのセットプレー、ジョー・コールのドリブル、ルーニーの鋭い得点感覚、クラウチの高さ・・・。彼らは、ここ最近ではかつて無いほどの「勝てる」要素を持っていた。ただし、ほとんどその魅力を見せることができずに、さらに前回大会からの結果の上積みなしで母国に戻ることになってしまった。

選手だけではなく、ファンも本当に悔しかっただろう。色々問題があった過激なサポーターもいたが、試合中チームが苦しんでいる時の彼らの「歌」は、選手達を勇気づけてきた。この日もそうだった。延長戦に入り、ポルトガルの波状ともいえる攻撃に対して防戦一方だったイングランドに、大声を張り上げ「勇気の歌」を歌い、魂を注入していた。しかし、その努力は報われず、試合後のエリクソン監督の言葉「我々は、グッドパフォーマンスをした。」という発言に、何か煮え切らないものを感じたに違いない。

次の代表は、プレミアシップのミドルスブラで実績を残し、今回イングランドのヘッドコーチの役割を担っていたスティーブ・マクラーレンに委ねられ、8月にマンチェスターで行われるフレンドリーマッチのギリシャ戦が彼の初陣となる。その後は、ヨーロッパの覇者を決める大会ユーロ2008の予選を戦う。イングランドは数多くの若き才能を抱える。マクラーレンはそのタレント達をじっくり吟味して、今大会で成し得なかった彼らにあった「戦い方」を模索する必要がある。その「タレント」と「戦術」が真に融合したとき、選手そしてファンが本当に満足する代表チームがつくられることになるだろう。

イングランドは、ベスト8で散った。この結果は、イングランドに関わる全ての人々に失望を与えた。ただし、サッカーは続く。そのため、この敗退は「次の発展への足ががり」と捉えて、新たな目的のために邁進しなければならない。

そして、今大会で精力の限り応援したファンへの恩返しを忘れてはならない。

執筆:坂田 草介

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