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ピーターラビット
1.作者について
ビアトリクス・ポターは、1866年ロンドンの裕福な紡績商の娘として生まれました。厳格な両親のもと、乳母や家庭教師によって教育を受けたポターの友達は、犬やうさぎ、あひるや蛙といったペット達でした。幼い頃から鋭い観察力と豊かな感受性を持つポターは、それらの動物たちを擬人化しては絵に描きました。毎夏避暑に訪れる湖水地方やスコットランドの大自然も、彼女のみずみずしい感性を育み開花させていきました。友人の子どもに宛てた絵手紙から誕生した『ピーターラビットのおはなし』。その後もポターは次々と絵本を描き続け、その版権収入で湖水地方一帯を買い取りナショナルトラストに寄付しました。77歳の生涯を閉じるまで愛し守った土地であり、絵本の舞台にもなった湖水地方はおかげで今も当時と変わらぬ佇まいを見せてくれています。
 
2.物語のあらすじ
「マクレガーさんの畑にだけは入っちゃだめよ。あそこでお父さんはとんでもないことになって、パイにされちゃったのですから。」
4匹の子ウサギのうち、いたずら好きのピーターだけは、お母さんの言いつけを守らず、マクレガーさんの畑に忍びこんでしまいます。手当りしだいに野菜をパクパク。ところが、丁度畑仕事をしていたマクレガーさんにバッタリ出くわしてしまって、さぁ大変。「この泥棒ウサギめ!」マクレガーさんはピーターをつかまえようと、猛烈な勢いで追いかけます。ピーターは畑の中を必死に逃げ回りますが、途中で、新品の上着や靴をなくすわ、水の入ったじょうろに隠れてずぶぬれになるわ、散々な目にあいます。出口が見つからず泣きベソをかきながらも、パイにされないよう懸命に畑から逃げ出したピーター。一目散に家まで走り続けたピーターは、クタクタになって床に倒れ込んでしまいます。その夜ピーターは、煎じたカモミル茶を大さじ一杯飲まされて、お母さんの作ったせっかくのご馳走も食べられずベッドに寝たきりでした。
 
3.作品紹介
「ピーターラビットの絵本」シリーズ全24巻は、英語版、日本語版ともに刊行されています。出版年次順に以下の通り。(没後出版作品も含む)
このほか、作品をアニメーション化したビデオ、TVシリーズ、各国語翻訳本など多数。
  1. 『ピーターラビットのおはなし』
    "The Tale of Peter Rabbit" (1902)
  2. 『りすのナトキンのおはなし』
    " The Tale of Squirrel Nutkin" (1903)
  3. 『グロースターの仕立て屋』
    "The Tailor of Gloucester" (1903)
  4. 『ベンジャミンバニーのおはなし』
    "The Tale of Benjamin Bunny" (1904)
  5. 『2ひきのわるいねずみのおはなし』
    "The Tale of Two Bad Mice" (1904)
  6. 『ティギーおばさんのおはなし』
    "The Tale of Mrs.Tiggy-Winkle" (1905)
  7. 『パイがふたつあったおはなし』
    "The Tale of The Pie and The Patty Pan" (1905)
  8. 『ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし』
    "The Tale of Mr. Jeremy Fisher" (1906)
  9. 『こわいわるいうさぎのおはなし』
    "The Story of A Fierce Bad Rabbit" (1906)
  10. 『モペットちゃんのおはなし』
    "The Story of Miss Moppet" (1906)
  11. 『こねこのトムのおはなし』
    "The Tale of Tom Kitten" (1907)
  12. 『あひるのジマイマのおはなし』
    "The Tale of Jemima Puddle-Duck" (1908)
  13. 『ひげのサムエルのおはなし』
    "The Tale of Samuel Whiskers" (1908)
  14. 『フロプシーのこどもたち』
    "The Tale of The Flopsy Bunnies" (1909)
  15. 『「ジンジャーとピクルズや」のおはなし』
    "The Tale of Ginger and Pickles" (1909)
  16. 『のねずみチュウチュウおくさんのおはなし』
    "The Tales of Mrs.Tittlemouse" (1910)
  17. 『カルアシチミーのおはなし』
    "The Tale of Timmy Tiptoes" (1911)
  18. 『キツネどんのおはなし』
    "The Tale of Mr. Tod" (1912)
  19. 『こぶたのピグリン・ブランドのおはなし』
    "The Tale of Pigling Bland" (1913)
  20. 『アップリ・ダップリのわらべ唄』
    "Appley Dapplys Nursery Rhymes" (1917)
  21. 『まちねずみジョニーのおはなし』
    "The Tale of Johnny Town-Mouse" (1918)
  22. 『セシリ・パセリのわらべ唄』
    "Cecily Parsleys Nursery Rhymes" (1922)
  23. 『こぶたのロビンソンのおはなし』
    "The Tale of Little Pig Robinson" (1930)
  24. 『ずるいねこのおはなし』
    "The Sly Old Cat" (1971)
 
4.魅力あるキャラクターたち
ポターの作品には、たいてい実在のモデルがいます。例えば『ピーターラビット』の主人公ピーターは、ポターの可愛がっていたウサギ「ピーター」がモデルです。絵本の出版前に死んでしまったピーターを偲んで、彼女は次のような文を処女出版に書いています。
『いとしかりしピーターラビットを、愛をこめて追悼す。(途中略)その知能に限りあれど、その柔毛と耳と足指にみかけの欠点あれど、その性質は常に温順、気性は真に素直。親愛なる伴侶、物静かなる友なりき。』スケッチも多数残されており、ピーターの動きや表情が擬人化されていても動物本来のリアリティに溢れているのは、鋭い観察力に基づいたこれらのスケッチによるものと言えましょう。一方、マクレガーさんのモデルになった人物は、シャイで心優しいキノコ学者で、キノコのアマチュア研究家でもあったポターの良き先生でした。外見はそっくりですが、恐いマクレガーさんとは程遠い人物像です。
 
5.故郷を訪ねて
Hill Top ヒルトップ
ヒルトップは、ビアトリクス・ポターが最初の作品の成功で得たお金で購入したファームハウス。彼女はここでの暮らしを愛し、またここでの暮らしが作品に対するヒントを与えた。「ピーター・ラビット」をはじめとする多くの有名な作品は、ここで誕生したもの。彼女はまた、湖水地方の自然保護活動にも積極的に携わった。彼女の人となりをうかがわせる控えめで暖かいこの家の雰囲気をゆっくり味わって欲しい。
オープン: 3月末〜10月末 10:30-17:00 (9-10月 11:00-16:30)/休業: 木、金/Nr Sawrey, Ambleside LA22 0LF/Tel: 015394 36269
World of Beatrix Potter Attraction
ビアトリクス・ポターの世界アトラクション
絵本がそのまま飛び出してきたような展示館。マグレガーさんの畑でラディッシュを食べているピーター・ラビットなど、物語のキャラクターたちが背景もそのままに再現されている。ティールームも人気。ウィンダミア湖畔観光の中心地ボウネスにある。
オープン: 通年(1月中下旬を除く) 10:00-17:30 (10月-イースター 10:00-16:30)/休業: なし/Crag Brow, Bowness LA23 3BX/Tel: 015394 88444
Beatrix Potter Gallery ビアトリクス・ポター・ギャラリー
ビアトリクス・ポターの描いたスケッチや水彩画の原画を見ることができる。ファンにはこたえられない貴重な体験!このギャラリーのあるホークスヘッドは、絵本「まちねずみジョニー」に登場する村。
オープン: 4月-10月 10:30-16:30/休業: 金、土/Main Street, Hawkshead LA22 0NS/Tel: 015394 36355