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ケルト十字架
聖パトリックはアイルランド各地に教会や修道院を築きました(しかし、そのほとんどは1066年のノルマン侵入によって破壊されています)。中世前期、アイルランドの修道院には大陸からの学僧が集い、一種の国際大学のような存在で、当時において最高水準の学問を誇りました。この修道院ではケルトとキリスト教が融合された『ケルズの書』などすばらしい装飾的な福音書の写本が作られたのです。さらに、修道院がもう一つ残したのがケルト十字架でした。

ケルト十字架とは、普通の十字架に円環を組み合わせたもので、ケルト文化が色濃く残るアイルランド、イギリスのコーンウォール地方、スコットランド、マン島に見られます。ケルト十字架には聖書の物語と共に、うずまきや曲線などケルト文様が刻み込まれ、高さは7、8メートルありハイクロス(High Cross)とも呼ばれます。


 モナスターボイス(Monasterboice)修道院のケルト十字架
アイルランド・ミーズ地方の修道院内に10世紀に建てられたもの。このハイクロスには見事なレリーフが施され、異教的な表現と共に、聖書の物語が刻まれている。これは文字が一部の人しか読めなかった時代、キリスト教の布教のために用いられた。 モナスターボイス(Monasterboice)


 ケルズ(Kells)の町のマーケット・クロス
アイルランド・ミーズ地方の『ケルズの書』ゆかりの町の大通りに建つ9世紀の十字架。人々が集まる町にあるため、マーケット・クロスと呼ばれる。 ケルズ(Kells)の町のマーケット・クロス


 コーンウォールの十字架(コーニッシュ・クロス)
イギリス・コーンウォール(Cornwall)地方の十字架は、十字架と円環が溶け合うような、全体がずんぐりした形をしている。