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BMCとBLMC
「勝利」を意味する「トライアンフ」という車種がある。これは第1次世界大戦後にスタンダード社が製造を開始したものだ。いかにも戦時中らしい命名である。軍需景気は自動車産業を刺激し技術躍進につながっていったが、第二次世界大戦以降に設立された自動車会社はほとんどなく、戦後は産業構造の変化によりメーカーおよびブランドの淘汰と企業合併吸収がすすむ。

Sir Alec Issigonis1952年、戦後の外資系との競争に打ち勝つため、ライバル同士であったオースティンとモーリスが合併して国営のブリティッシュ・モーター・コーポレーション(British Motor Corporation、BMC)が設立され、ウィリアム・モーリス(William Morris)が社長に就任した。まもなく1959年にBMCのチームデザイナーであった(サー・)アレック・イシゴニス(Sir Alec Issigonis)は、かの有名な「ミニ」を登場させた。またこのころ1961年には「ジャガーEタイプ」が有名な「ジャガーXJS」にモデルチェンジしている。

1963年、BMCはスタンダードの経営権を獲得し、続いてレイランドバス&ローリーLayland and Loryと合併してブリティッシュ・レイランド・モーター・コーポレーション(British Layland Motor Corporation、以下BLMC)となった。フォルクスワーゲン、フィアットに続き、当時世界で3番目に大きな自動車会社となったBLMCは、「モーリス」「オースティン」「MG」「ダイムラー」「ジャガー」「トライアンフ」「レイランド」「ガイ」「アルビオン」「スキャンダル」といった数々の有名ブランドを一手に引き受けることになった。

オイルショックが起こった1970年代以降、英国の自動車産業は、かつてない苦境と変化に直面する。外資系の参入により市場競争が激化して、業買収やブランド吸収劇が相次ぎ、70年代後半には小さな独立型の自動車会社が少数残るのみとなった。このときBLMCは「ダイムラー」や「ジャガー」「ローバー」などの人気車種も抱えてはいたものの旧型設備の処理問題など経営体力の面で多くの問題を抱えていた。

産業全体としては、長い距離をもっと快適に、格好よく、速く走りたいというクルマに対する純粋な夢は追求され続け、それを体現するスポーツカーは依然として多くの人々にとっての憧れであり続けた。しかしオイルショック、排気ガス公害などの環境問題への対策が求められ、1980年代に入ると保険料の上昇や日本車などの実用車の人気が上がり、一般道の速度制限などの影響もあって、大量生産のスポーツカーは次第に姿を消し行く運命に立たされた。

1980〜1981年にかけて、人々が愛してやまなかった「MG」「スピットファイヤー」「トライアンフ」といった量産型スポーツカーの生産が次々と終了した。BLMCは、80年に日本のホンダ技研と共同で1959年以来初のミニのモデルチェンジを行った。こうした社運をかけた試みも空しく、1984年の分割民営化に伴いオースティン・ローバーグループとなり、「ローバー」、独立ブランドの「ミニ」「MG」以外では、分割されたブランドを除き全てのブランドが姿を消すこととなった。

 ジェームズ・ボンドが乗った英国産ボンドカー
ジェームズ・ボンドジェームズ・ボンドに登場するボンドカーはボンドガールと同じくらい毎回話題を呼ぶのが恒例だ。イアン・フレミングの原作小説ではボンドの愛車はベントレーということになっているが、映画では第3作目の「ゴールドフィンガー」(1964年)から、ベントレーではなくスポーティなアストン・マーティンが採用され一躍その名を知らしめた。また「私を愛したスパイ」(1977年)では、ロータス・エスプリも登場。シリーズ中、しばらくBMWが登場したものの、007の制作プロがフォードに買収されたこともあって「ダイ・アナザー・デイ」(2002年、シリーズ開始から40周年・20回目の作品)のときに、ボンドカー(フォード傘下の)アストン・マーティンのヴァンキッシュが帰り咲きして注目を集めた。外資となっても英国車を愛する英国人の誇りはいまなお健在?

  ボンドが乗った英国産ボンドカー
· サンビーム・アルパイン(ドクター・ノオ)
· アストン・マーティンDB5(ゴールドフィンガー、サンダーボール作戦)
· アストン・マーティンDBS(女王陛下の007)
· ロータス・エスプリ(私が愛したスパイ)
· ロータス・エスプリターボ(ユア・アイズ・オンリー)
· アストン・マーティンV8ボランテ(リビング・デイライツ)
· アストン・マーティンV12ヴァンキッシュ(ダイ・アナザー・デイ)